お知らせ

『犬の10戒』を読んで学べること〜私の心に響く素敵なメッセージ〜

私たち介護者は、施設に入所されて生活されているご利用者様とは、ご家族様以上に共に過ごす時間、お話しをする時間など、多くの時間を共有しています。介護・ケアしていく中で、ご利用者様本位の姿勢を大切にする上で、ご利用者様1人ひとりの思いや気持ち、そして生活歴、今感じておられること等たくさんのことがあります。けれども日々の業務の中で、ご利用者様1人ひとりのことを知ろう、分かろうとすること、共感しようとすることに、その限界(限り)は決してありません。ご利用者様の中には、心の中で思っていても、また今すぐにでも伝えたくても、認知症やそれによる認知能力の低下、言語伝達能力の低下等により、うまく口にして表現できないことや、お話しをすることができないことが多々あると思われます。そして、その1つひとつのサインを、日々の業務の中で、私たち介護者が感じ取り、ご利用者様が望むように全てを返すことができているかといえば、そうではないのも事実です。

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『犬の10戒』

1. 私と気長につきあって下さい。

2. 私を信じて下さい。それだけで私は幸せです。

3. 私にも心があることを忘れないでください。

4. 言うことをきかないときは理由があります。

5. 私にたくさん話しかけてください。人のことばは話せないけど、分かっています。

6. 私をたたかないで。本気になったら私の方が強いことを忘れないで。

7. 私が年を取っても仲良くしてください。

8. 私は十年くらいしか生きられません。だからできるだけ私と一緒にいてください。

9. あなたには学校もあるし友だちもいます。でも私にはあなたしかいません。

10. 私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。どうか覚えていてください、私がずっとあなたを愛していたことを。

( ※作者不詳 『犬と私の10の約束』(文藝春秋)より )

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『犬の10戒』から読み取れる・感じ取れる“私なりの解釈例”

〜ご自分の想いを上手く伝えることのできないご利用者様の立場におきかえて〜

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1. 生活を送る上では色々なことがありますが、その全てをまずは受け入れて(受容)ください。

2. 私の存在そのものを信じ、認めてください。生活しているこの場所は居心地が良いです。

3. 認知症であってもあなたと何1つ変わらない人としての気持ちがあることを忘れないでください。

4. 拒否をしてしまうときや、興奮してしまうとき、それにはきちんと訳があります。

5. うまく表現できないこともあるけれど、真摯な関わりや真剣な思いはよく伝わっています。

6. ボディタッチは心を込めて優しく。そっと握りしめた、あなたの柔らかな手の温もりだけで十分です。

7. どんどん年をとっていってしまうけれど、いつになっても私と仲良く、側に居てください。寄り添ってもらえることは、とても嬉しいです。

8. 疾患やADLの低下により、いつまで元気でいられるか分かりません。だから、あなたの可能な限りでいいので、時間が許す限り、話しをする等一緒に寄り添わせてください。

9. 施設で暮らしている今、昔と比べて会いたい友だちともなかなか会えないです。ここで働くあなたたち職員1人ひとり・私を取り巻く全ての方々が、私にとってはかけがえのない大切な存在です。

10. 私が死ぬとき、私の側にいてくれるだけで十分有り難いです。あなたと出会えたことに、心から感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。

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以前、会議の議題の中で、『犬の10戒』を取り上げたことがあります。

捉えようによっては、犬とご利用者様を比較するなど大変失礼なことかも知れませんが、ご自分の想いを伝えることが難しいことに対する理解の例えとして用いらせて頂きました。大変なご無礼をお許しください。

今回、あらためて、『犬の10戒』を通して、私が伝えたいことは、「ご利用者様のことをもっともっと知っていこうとすること、また、その思いや気持ちなどを1つひとつ理解すること・共感することへの歩みを止めず、日々の小さな関わり1つひとつを決して見逃さずに大切にしていきたい」ということです。一瞬一瞬、またその時その時の関わりを大切にしようとする私たち介護者の姿勢や気持ちは、きっとご利用者様の穏やかな表情や、返答、笑顔になって、私たちの前にうつしだされます。

そして、そのご利用者様個々の様子や仕草、また返ってくる反応全てが、日々の私たち介護者のやりがい・モチベーションの向上、介護・福祉という仕事の奥深さ・楽しさに繋がっていると、私は強く感じています。また、『犬の10戒』を通して、学ぶことは、ご利用者様との関わりにおける大切な原点であるとも考えています。これから先も、決して忘れることなく、常に心にとめながら、日々の業務に携わっていきたいと思います。

特別養護老人ホーム アイユウの苑 生活相談員 稲田 智明

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