ISO 9001 について

Quality

品質マネジメント
システム ISO 9001

「社会福祉法人 松美会 アイユウの苑」は、「社会福祉法人」「特別養護老人ホーム」「在宅介護サービスの複合供給体」として、1999年10月1日、日本で初めてISO 9001の認証(審査登録)取得を実現しました。

ISO 9001 とは

 国際標準化機構(ISO)にて1987年に制定された品質システムの国際規格です。

その後1994年に一部改正、2000年末にISO9000シリーズ規格が改正され(2000年版)品質保証システムの国際標準規格から品質マネジメントシステムの国際標準規格として大きく生まれ変わりました。「製品品質を保証するための規格」から「品質保証を含んだ、顧客満足の向上を目指すための規格」へと変わりました。2008年11月には、曖昧だった部分を明確にする目的で<追補>が行われ、改正された2008年版が発行されました。さらに、2015年11月には、統合化と汎用化が進められた2015年版が発行されました。

ISO 9001は、お客様に提供する製品、サービスの品質を継続的に向上させていくことを目的とした品質マネジメントシステムの規格です。単に「良い製品を作ることや良いサービスを提供すること」だけではなく、「お客様の要求する製品を作ることやお客様の要求するサービスを提供するためのシステムを管理すること」であり、製品やサービスの質を管理するための「仕組み=システム」を規格にしたものです。製品・サービスを提供するまでのルールを示し、PDCAサイクルを回し、お客様の要求を満足させる製品やサービスを継続的に提供するためのもので、その事業所が必要な能力(品質マネジメントシステム)を備えているか、それが適切に機能しているかどうか、かつ「顧客満足の向上」を推進しているかをチェックする基準であるといえます。

品質マネジメントシステム ISO 9001:2015 要求事項

  • 4 組織の状況

    4.1 組織及びその状況の理解
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    4.4 品質マネジメントシステム及びプロセス

  • 5 リーダーシップ

    5.1 リーダーシップ及びコミットメント
    5.2 方針
    5.3 組織の役割、責任尾及び権限

  • 6 計画

    6.1 リスク及び機会への取り組み
    6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
    6.3 変更の計画

  • 7 支援

    7.1 資源
    7.2 力量
    7.3 認識
    7.4 コミュニケーション
    7.5 文書化した情報

  • 8 運用

    8.1 運用の計画及び管理
    8.2 製品及びサービスに関する要求事項
    8.3 製品及びサービスの設計・開発
    8.4 外部から提供されるプロセス製品及びサービスの管理
    8.5 製品及びサービス提供
    8.6 製品及びサービスのリリース
    8.7 不都合なアウトプットの管理

  • 9 パフォーマンス評価

    9.1 監視、測定、分析及び評価
    9.2 内部監査
    9.3 マネジメントレビュー

  • 10 改善

    10.1 一般
    10.2 不適合及び是正処置
    10.3 継続的改善 

お客様にとって、ISO 9001を認証している組織は、「顧客の要望を満たす製品やサービスを提供し、さらに顧客満足の向上を目指す『信頼できる組織』である」ということができます。「品質が確保されていることがその製品・サービスを利用しなくても顧客あるいは第三者にわかるようにするための活動である」ともいうことができます。

社会福祉法人 松美会 アイユウの苑では、1998年8月にISO 9001認証取得推進委員会を発足させ、外部のコンサルティング会社には頼らず、すべて職員が中心となって要求事項の解釈、業務の標準化、品質マニュアルの作成などの準備を進め、1999年10月1日付けで、特別養護老人ホームアイユウの苑、ショートステイ、デイサービス、ホームヘルプサービス、在宅介護支援センターの複合型施設を対象にISO 9001の認証(審査登録)取得を実現しました。

これまで、1回/年の維持審査を17回、1回/3年の更新審査を7回受審、その間2000年版への移行審査、2008年版、2015年版への変更審査に加え、新たなサービスの拡大審査を受審してきました。(2023年5月31日現在)社会福祉法人松美会において、『住宅型有料老人ホームアイユウの苑しおはま』『しおかぜの里こども園』を除くすべての事業所においてISO 9001の認証(審査登録)取得をし、お客様満足を踏まえた、品質マネジメントシステムの維持および継続的改善を推進しています。

社会福祉法人 松美会 アイユウの苑のISO 9001の具体的取り組み

社会福祉法人松美会は、特別養護老人ホームアイユウの苑を核に、さまざまな居宅サービスを地域密着の生活支援サービスとして捉え、高齢者介護サービスの提供を行っています。1999年(平成11年)10月、介護保険制度における契約による選択される福祉が見えていたころ、スタッフの能力に左右されやすい、品質そのものがあいまいな介護サービスを、「24時間365日均質かつ良質な、選択される介護サービスとして、ご利用者様満足を追及し、実現できるシステムとして構築したい」との考えから、ISO 9001の認証取得を実現しました。
ISO 9001は、品質マネジメントシステムとして、品質方針・品質目標を設定し、品質計画・品質管理・品質保証・品質改善を実施することを求めており、法的要求に加えご利用者様の要求を満足するサービスを提供する能力を実証し、システムの効果的な運用を通じて、継続的に改善することでご利用者様満足の向上を目指すことが可能となります。

「サービスの質」=「スタッフの質」ではなく、「サービスの質」=「仕組み」×「スタッフの質」と考えています。ここでいう「仕組み」が品質マネジメントシステムであるといえます。あたりはずれがなく常に均質であることが重要と考えています。

アイユウの苑における品質マネジメントシステム

iso図解

理念を実現するために、品質方針・品質目標を掲げ、ご利用者様とのコミュニケーションを図り、標準化したマニュアルに基づき、スタッフの管理・サービスの管理について、リスクマネジメントを踏まえ、計画をたて、そのとおり実施し、結果を確認し、分析し、処置を行い、改善するというPDCAサイクルを回しながら、継続的改善を推進していくシステムであり、法人内の内部監査員による年2回の内部品質監査や審査登録機関による1年ごとの定期維持審査、3年ごとの更新審査による外圧によって、システムの恒常性が担保されます。

  1. 1.年度事業計画の立案と
    進捗管理

    サービス事業所ごとに年1回SWOT分析を行い、内部環境(強み、弱み)。外部環境(機会、脅威)を明確化し、事業計画に反映させています。事業計画では、「ありたい姿」と「大切にしていること」を文書化するとともに、目的、目標(内容と達成基準)、具体的方策を示し、目標ごとに実施スケジュールを明確化しています。事業計画は職員参画のもと行い、内部品質監査内容としています。事業計画は5か月後、10か月後の進捗管理と年度末評価を行います。

  2. 2.ご利用者様・家族との
    コミュニケーション

    ご利用者様とのコミュニケーションについて、すべてのサービス事業所において年1回満足度調査を実施しています。また特別養護老人ホームにおいては、より確度のある評価をいただく目的で対処された方に「退所後アンケート」を実施しています。ご利用者様、ご家族が声には出さない(出せない)「心の声」を汲み取り、共有し、さらなるサービスの質向上につなげる仕組みがあります。

  3. 3.標準化したマニュアル

    標準化したマニュアルについて、「標準があるから個別化ができる」と考え、誰がやっても自分たちで決めたレベルのサービスの質が保証できるよう、そのことに関わるすべてのスタッフで吟味し、サービス手順を可視化しました。介護リストの使い方など動画として作成し、教育ツールとしても活用しています。これらの標準化したマニュアルの存在は、新人職員教育において、短期間の戦力化が可能となり、職員の安心にもつながります。また、マニュアルや帳票は、最新版管理を行っています。

  4. 4.スタッフの管理

    スタッフの管理について、一人ひとりの年間個人目標カードを作成しています。勤務するサービス事業所の年間事業計画の達成のために、個人として何をするのかを明確にしています。求める人財像を示し、接遇力を含めて必要な力量を明確化し、マニュアルに基づくサービスごとのチェックリストにより一人ひとりの力量を把握するとともに、勉強会実施後に行う理解度テストの結果などを教育・訓練に反映させています。また、職員満足がご利用者様満足につながると考え、全職員を対象に、職員仕事満足度調査を年1回実施し、職員仕事満足度を高める取組みを行うとともに、管理職の360度評価と全職員の面談を行っています。

  5. 5.サービスの管理

    サービス管理について、たとえば特別養護老人ホームアイユウの苑において、スタッフ側からは、勤務時間帯ごとの日課表により、職員が行なうべき必須業務を時間ごとに示し、決められた時間に決められたサービス提供を義務づけています。ご利用者様側からは、個別サービス計画表として、ご利用者様に提供するサービスを時間ごとに示し、決められた時間に決められたサービスが受けられることを約束しました。このことで、スタッフが提供できるサービス総量とご利用者様に提供を約束したサービス総量の比較が可能となり、自分たちで決めたサービスの質保証のために必要な配置スタッフ数を明確にすることができます。

  6. 6.リスクマネジメント

    リスクマネジメントについて、介護事故は起こるもの、起こった事故から学ぶものとして、個人の責任ではなく、組織全体で取り組むべきものとし、サービスの質向上がリスクマネジメントにつながると考えています。ひやりハット、ファインド報告書の質・量からの表彰制度やスタッフ一人ひとりのリスクを感じるセンスを高める危険予知トレーニングの取組みに加えて、施設内環境監査(施設内危険箇所点検)などを実施しています。さらには、リスクマネジメント情報共有のため、部門横断の委員会を開催しています。

  7. 7.内部品質監査・定期維持
    審査・更新審査

    内部品質監査について、それぞれの部署が運営管理している品質マネジメントシステムがどのような状況であるかを評価する仕組みであり、垣根を越えた議論の場として、お互いの部署を客観的に見ることで部署間の風通しが良くなり、組織間連携力が高まっています。また、これまでに17回の定期維持審査と7回の更新審査、10の新規事業に対する拡大審査を受審し、システムの維持・拡大・向上に努めています。

社会福祉法人の存在意義やあり方が厳しく問われる中で、ISO 9001は、顧客満足を踏まえた良質なサービスを継続的に提供するためのマネジメントシステムであることから、ISO 9001のご利用者様・ご家族に選択されるサービスとして安全・安心・快適をお届けすることが可能となります。また、地域住民や地域を顧客と定義づけることにより、情報公開や地域公益活動など、地域が求めるニーズにお応えすることが推進されます。
介護報酬改定、ご利用者様の重度化、介護人材の確保難などさまざまな課題と向き合い、これらの経営環境の変化に迅速に対応し、ご利用者様満足を満たす良質なサービスを提供し続けることで組織の継続的発展を実現しなければなりません。
 私たちのお客様は誰で、そのお客様は何を価値あるものと考えるのか、期待されていることを行えているのか、という視点から私たちの成果をより具体化し、その成果をあげなければなりません。
ISO 9001は、お客様満足を実現し、これらの課題を解決できるよう、質保証、質改善をしながら、コストパフォーマンスを高め、スタッフが集い、学び、育つ「理想の職場づくり」をシステマティックに実現することができるツールであると考えています。業務を標準化し、仕組みを整備し、PDCAサイクル(計画→実施→評価→改善)を回わすことで、サービスの質の継続的な改善が可能となり、ご利用者様、ご家族さま、地域のみなさまに安心をお届けするとともに、職員にとっては働きやすい職場づくりにつながっていると実感しています。

品質システムの維持・更新・拡大の状況

品質システムの維持・更新・拡大の状況を見る

1998年8月1日 ISO認証取得推進委員会 発足
1999年10月1日 品質保証システム国際標準規格ISO9001登録審査 審査登録 特別養護老人ホーム・ショートステイ・デイサービス・ホームヘルプサービス・在宅介護支援センター
1999年11月1日 ISO推進委員会 発足
2000年4月14日 第0-1回 品質システム維持審査 登録継続
2000年10月27日 第0-2回 品質システム維持審査・拡大審査 登録継続・登録拡大 訪問入浴・居宅介護支援・要介護認定調査・下関市委託事業
2001年11月9日 第0-3回 品質システム維持審査・2000年版移行審査 登録継続・移行
2002年10月7日 第1回 品質システム更新審査・拡大審査 登録更新・登録拡大 訪問看護
2003年12月15日 第1-1回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2004年11月17日 第1-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2005年9月20日 第2回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新
2006年10月17日 第2-1回 品質 マネジメントシステム維持審査・拡大審査 登録継続・登録拡大 グループホーム・居宅介護支援事業所
2007年10月1日 第2-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2008年7月22日 第3回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新
2009年7月22日 第3-1回 品質システム維持審査・2008年版変更審査、拡大審査 登録継続・登録拡大 地域密着型介護老人福祉施設・ショートステイ
2010年7月5日 第3-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2011年6月21日 第4回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新
2012年7月3日 第4-1回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2013年7月2日 第4-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2014年7月15日 第5回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新
2015年7月14日 第5-1回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2016年7月4日 第5-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続・登録拡大 地域密着型介護老人福祉施設・小規模多機能型居宅介護
2017年7月31日 第6回 品質マネジメントシステム更新審査・2015年版移行審査 登録更新・移行
2018年7月18日 第6-1回 品質マネジメントシステム維持審査・拡大審査 登録継続・登録拡大 地域包括支援センター
2019年7月29日 第6-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2020年7月20日 第7回 品質マネジメントシステム更新審査 登録更新
2021年8月2日 第7-1回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2022年7月27日 第7-2回 品質マネジメントシステム維持審査 登録継続
2023年9月4日 第8回 品質マネジメントシステム更新審査・拡大審査 登録更新・登録拡大 幼保連携型認定こども園・住宅型有料老人ホーム

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